映像信号
2008年頃を境にして、RED DIGITAL CINEMA社ののRED ONEが日本にもやってきて、ファイルベースワークフローが認知され定着していきました。「赤いカメラ」ではありますが、黒船がやってきたように、日本の映像業界に与えるインパクトはとても大きかったことを思い出します。REDが映像業界に与えたことは多岐に渡りますが、その中でもファイルベースワークフローを根付かせた功績は大きかったと個人的には感じています。
ファイルベースワークフローは今やなんの疑問もなく定着していて、「VTR?そんな古臭いものもあったのね」くらいの理解だと思います。今更VTRの時代に戻ることはありません。VTRと言えば、同軸ケーブルを使って機器同士を接続するようなシステムが欠かせないものでした。同軸ケーブルは今でも、そして当面は映像業界には欠かせないものでしょう。しかし、その中を流れている映像信号の存在感は年々小さくなってきていると思います。映像信号の役割も変わってきています。
映像とは、モニターやプロジェクターなどの表示デバイスを経由して観る、形のないコンテンツです。映像信号からファイルベースワークフローに変わったからといっても、映像自身の存在感は何ら変わることはありません。しかし、制作者たちの意識の中から映像信号が完全に無くなるのは、まだ少し早いと言えます。カメラからモニターに接続するだけでも、映像信号の役割は必要です。今更NTSC技術を学ぶことは不要でも、必要不可欠な映像信号の知識に関しては、技術系の方なら押さえておくべきな時代はもう少し続くと思われます。